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「てらだとらひこのついそう」あとがき
寺田寅彦 わが師の追想
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『寺田寅彦 わが師の追想』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「寺田寅彦の追想」後書、実験室の思い出、墨流しの物理的研究、墨並びに硯の物理学的研究。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,239 字 · 65 页
水中の電解質の影響
それも墨汁の粒子が小さくなる為におり方が少なくなるのならば、その点で使用目的があるが、この場合は粒子もまた大きいのである。
水中の電解質の影響
「第九図」のキャプション付きの図
第九図
電解質を含む水で墨を磨った時の墨のおり方Qと粒子直径Dとを調べる為に、色々の濃度の苛性加里液及び塩酸水溶液で墨を磨りその時のQとDとを測って、蒸溜水の場合と比較して見た。その結果は、酸の時はQもDも蒸溜水の時より大きく、アルカリの時は逆に小さいということが分かった。酸もアルカリも膠を軟らかくする性質があるから、もしその為とすると、両方共Qは蒸溜水の時より大きくなる必要がある。ところが実際はアルカリの場合は蒸溜水よりもQが小さいのである。それで次のようなことが考えられる。墨の粒子は負に帯電していることは分かっているので、酸のH+イオンがこれを中和する為、粒子が凝集を起こし易く、その為Dが大きくなる。アルカリはOH-イオンがある為に凝集を妨げて、粒子は小さいと考えられるのである。それでQとDとの関係を図にして見たところが、第九図のような結果を得た。これと第七図とを比較して見ると、Q―Dの関係は、酸アルカリの如何を問わず、蒸溜水と同じ直線上に載るのである。