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「てらだとらひこのついそう」あとがき
寺田寅彦 わが師の追想
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『寺田寅彦 わが師の追想』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「寺田寅彦の追想」後書、実験室の思い出、墨流しの物理的研究、墨並びに硯の物理学的研究。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,239 字 · 65 页
墨のおり方と摩擦係数との関係
この関係を直線と見ると、
D=D0+aQ
なる式で現すことが出来る。この直線はOなる原点を通っていないので、Q=0の時も粒子直径はD0なる値を持つことになる。このD0が墨の粒子の最小の値を示すもので、石の硯の場合は十万分の一ないし三粍、金属の場合は十万分の八粍ないし一万分の一粍である。金属の硯で磨った時に、墨の粒子がこのように大きくなるのは、色々の考察の結果、金属から多価のイオンがごく少量出て来て、それが膠質の凝集を起こす為だろうという説明がしてある。
石の硯に就いて見ると、用いられた硯二種墨三種の色々な組み合わせが、皆同一直線上にある。
前述第五図に於て雨端石と真鍮とが共に墨のおり方が悪いという結果になっていたが、今度の第七図で見ると、雨端石の方は粒子が小さくなるのでおりる量が減るのであるということが分かる。真鍮の方はこれに反して、墨のおりる量は少なくして、しかも粒子は大きいのである。その点雨端石と真鍮とは著しく異なるのである。
墨のおり方と摩擦係数との関係
「第八図」のキャプション付きの図
第八図
墨のおり方Qと摩擦係数μsとの関係は、第八図に示すようになる。