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「てらだとらひこのついそう」あとがき

寺田寅彦 わが師の追想

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『寺田寅彦 わが師の追想』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「寺田寅彦の追想」後書、実験室の思い出、墨流しの物理的研究、墨並びに硯の物理学的研究。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,239 字 · 65 页

青空文庫

一定の墨を甲乙二つの硯で磨って得た墨汁を比較する時、磨り方が異なっていたら何もいうことは出来ない。それで、墨の底面が一定の圧力で、垂直に硯の面に圧しつけられながら、決まった距離を決まった週期で、反覆的に動くような装置を作る必要がある。第一図はその目的の為に作られた装置である。

「第一図」のキャプション付きの図

第一図

図中Vが硯で、Sが墨である。Hは墨をはさむ筒で、それがKなる外側の鞘の中を垂直に上下するようになっている。Wは重量である。KとHとの間の辷りをよくして置くと、墨の硯に対する圧力はWで決まる。Mがモーターで、プレーPとクランクCとを用いると、墨を一定速度で一定距離磨らすことが出来る。この実験ではWは1.36瓩のものを用い、往復運動は一分間に百回の割合で、硯上を墨が動く距離を五糎とした。この装置では硯の海だけに水を入れて置いて、時々墨がその中から水をとって来て磨るというわけには行かない。それで硯の縁まで一杯に蒸溜水を入れて、水の中で磨ることとした。墨色などをやかましく論ずる時には、この磨り方ではよくないという議論も出るかもしれないが、今の実験ではその点には触れないこととする。