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さこんのいかり
左近の怒り
「講談倶楽部 第六巻第九号~第一一号」1954(昭和29)年7月1日~9月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 47,454 字 · 95 页
「ジャンパー姿の若者とはキミらしいぜ。え? キミは得体の知れない悪漢一味からも、警察からも、思いがけない理由で追及されているのだ。世の中って、こんなものさ。キミの潔白はキミが信じることができるだけのものだぜ」
「大石弁造はボクに金庫の爆破を押しつけた人だね。そして、たぶんキミを脅迫している張本人だろう」
「どういうワケで?」
「白雲荘の主人らしいからだ」
「どうして?」
「玉子のダンナだからさ」
「キミは新聞を読んだことがないらしいな。大石弁造は三週間も前から拘留されているのだよ。それに、白雲荘の持主が誰にしろ、その当人がキミに顔を見せるはずはなかろうさ。白雲荘の主人と名乗った人物は、キミが再びめぐり会うことができないような名もない陰の人物だね。それが裏街道の常識だよ。張本の大物がキミに顔をさらすことはありえないものさ」
なるほど、と考えこんだ左近を洋次郎はいたわり顔に見つめて、
「とにかく、キミが東京にいると、妙に忙しくなるばかりらしいね。だから、妹の身のためにも、よろしく、たのむよ」
と洋次郎は二ツ三ツ余分に頭をさげて、立ち去った。すると、それと入れ代って姿を現したのは葉子とタコスケだ。