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さこんのいかり
左近の怒り
「講談倶楽部 第六巻第九号~第一一号」1954(昭和29)年7月1日~9月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 47,454 字 · 95 页
なんしろ天下に身寄りのない風来坊だから、タンテイだの新聞記者がどんな解釈でもつけますよ。とにかく金庫爆破の犯人としては天下に夏川さんぐらい適当な人物はいなかったわけだね。大竜出版の唯一のしかも新入りの社員で、素性がハッキリしないんだからね。名タンテイ・タコスケの原子眼は見透しですよ」
「そこまで分るはずはなさそうだな」
「わかるはずがあるんです。悪いことはできないものさ。葉子さんをユーカイした玉子が住田の隠れ家へ到着するとにわかに急病になって倒れたんです。医者が二三十本もカンフルをうって持ち直したそうですが、看病の葉子さんに玉子が告白したんです。天罰とみて怖れたんだそうですよ。夏川さんに爆破させるはずの金庫はこの隠れ家の金庫で、爆破のあとで犬に噛み殺させる手筈だったということをね。そして白雲荘も住田の身内の別荘だと教えてくれたそうです。してみれば一目リョウゼンですよ。金庫爆破の張本人は住田その人さ。夏川さんが大竜出版の新入社員と知ってるのは住田だけですからね。そして玉子は実は住田の二号なんです。してみればこの筋書を書いた者は住田以外にありッこないのが判明するじゃありませんか。