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ふくいんさつじんじけん

復員殺人事件

坂口 安吾

「座談 第三巻第六号~第七号、第四巻第一号~第三号」1949(昭和24)年8月1日~9月1日、1950(昭和25)年1月1日~3月1日(未完)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 页

青空文庫

如し。手に多少の荷物と上衣を持ちたるものの如し。当地の旅館にはそれに該当する宿泊者見当らず。当駅の始発電車は四時九分にして下船者はそれを利用して、当地を立ち去ることを得。該始発電車は魚を運ぶヤミ商人が最も多く利用するものにして、未明にも拘らず乗客多く、ミユキ丸の下船者を弁別することは不可能なり。駅前交番も駅員も、特にそれらしきものを認めずと云えり。分散して乗車せば、何人も彼らを弁別するあたわざるは当然なり。始発電車に発売せる切符は五十七枚にして、定期券利用者、往復切符利用者等はその倍数以上なるべし。五十七枚の発売切符は左の如し。

東京都内行    十九枚

横浜行       六枚

熱海行       五枚

小田原行      五枚

早川行       四枚

焼津行       四枚

沼津行       四枚

湯河原行      二枚

大阪行       二枚

米沢行       二枚

浜松行       二枚

豊川、大船行   各一枚。  以上」

私が見ても一向に不思議なところがない。

「これがどうしたというんですか」

私が呆れて、こう問いかけると、大矢警部は笑って、

「マア、マア本筋はこれからです。