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ふくいんさつじんじけん

復員殺人事件

坂口 安吾

「座談 第三巻第六号~第七号、第四巻第一号~第三号」1949(昭和24)年8月1日~9月1日、1950(昭和25)年1月1日~3月1日(未完)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 页

青空文庫

「オイ、重吉。龍教は今までに幾つ人を殺してきたのか。え? 朝鮮で何人殺した?」

「いけませんよ。おどかしちゃア。人ぎきが悪いやね。警察の旦那というものは、考えすぎるよ。龍教ぐらい平和を愛する宗教はありませんぜ」

「平和のために殺人を行うことを当然と信じているじゃないか」

「どういたしまして。龍教は身をおさめ、仁を行うだけでさア」

「お前はどんな仁を行ったね」

「アッハッハ。カストリをのみ、カストリ屋のオッサンを喜ばせてやっていますぜ」

「オイ、重吉。隠したって、ダメだぜ」

「隠すより、あらわるるはなし。みんな見あらわして下さいよ。万事、おまかせしますぜ」

「お前の奥方や久七は信徒かね」

「ひっぱってきて、足の裏をしらべなさいよ」

重吉はニヤリと一発。大きな屁をたれて、

「アッハッハ。好音を発したね。今日は音がいいね。警察の建物のせいかも知れないよ。時に旦那にうかがいますが、安彦さんの身の丈が六分つまった謎が解けましたか」

大矢警部はジッと重吉を見つめながら、首を横にふった。

「そうですか。それじゃア、ひとつ、私が飛びきりのニュースを教えてあげますよ。安彦さんの写真をもって、熱海へいらっしゃい。