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ふくいんさつじんじけん

復員殺人事件

坂口 安吾

「座談 第三巻第六号~第七号、第四巻第一号~第三号」1949(昭和24)年8月1日~9月1日、1950(昭和25)年1月1日~3月1日(未完)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 页

青空文庫

悪戦苦闘賞を呈上致しましたが、今回は大いに厳格、推理がデタラメの御方は、たとえどれほどウルサガタであろうとも、断々乎として、ダメ、ダメ、ダメです。なぜならば、これ即ち懸賞とは申せ正体は作者の敗北料であり、勝つか、負けるか、おのずから、定まるとこがあり、フェア・プレー・ゲームは本来そうきまってるじゃありませんか。

ちょッとお断り致しておきますが、「不連続殺人事件」の方程式でこの「復員殺人事件」の解答を割りだそうたって、全然ダメ、思うに、世界中の探偵小説みんな読んだって、ダメだろうな。

僕はこんなに早く、第二回目の探偵小説を書こうとは、夢考えていなかったのですが、たまたま精神病院へ入院させられて、読むことも、書くことも封じられたので、仕方なしに、第二回目の探偵小説のトリックを編みだしたという次第です。

奴メ、気違い病院で考えやがったんだから、犯人は気違いだろう、なんて、どうも軽率は、美徳ではないです。沈勇と申しまして、英雄豪傑は冷静水の如く、したがって、時到れば、引力を発見し、ピカドンの原理が閃くという次第です。

敗北料は、目下のところ三万円と致しておきます。