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ふくいんさつじんじけん
復員殺人事件
「座談 第三巻第六号~第七号、第四巻第一号~第三号」1949(昭和24)年8月1日~9月1日、1950(昭和25)年1月1日~3月1日(未完)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 页
「日記帳の話を誰に洩らされたのですか」
「私は誰にも洩らしません。又、兄さんも洩らしたようには思われません。なぜなら、私だけよびよせて、ひそかに托したのですから。けれども、一つ思い当りますのは、その晩は出征前夜で、兄さんは酔っ払っておりましたので、内密話のくせに、声が高かったこと、もう一つ、兄さんが、毎日、日記をコクメイにつけていたということは、家内中誰知らぬ者がなかったのです」
「何とか伝の何章とかいう文句は、なんの咒いの文句だい?」
定夫は妹に向って噛みつくように、きいた。美津子は答えようとしなかった。やゝ長い沈黙の後、巨勢博士がつぶやいた。
「人を見る、それは樹の如きものの歩くが見ゆ。という文句なんですがね。さアてね。余は犯人の姿を見たという謎ですか、どうか。それ以外に、考えようがないのかも知れませんな」
「フン」
定夫は呟いたが、そのふてぶてしそうな見せかけに拘らず、内心の驚愕は大きいようであった。そして、何かを、とりとめなく疑りだしてキリがないという様子でもあった。
「オレはとにかく、今夜からは、サクラ拳闘クラブへ居候の合宿だ。何が何だか知らないが、丹下左膳現代版は、どうも、胸騒ぎを、させやがるよ」