轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こいのでんしちろう

恋の伝七郎

山本 周五郎

「講談雑誌」博文館、1946(昭和21)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,650 字 · 60 页

青空文庫

「ちょっと待て」伝七郎は忠太を制して、ぐいと銀之丞の顔を覗きこんだ、「いまの三枝どのの言葉を聞いたか、村松」「聞いたよ」「それでなにか云うことはないか」「まずないな」歌舞伎役者のような美貌が、提灯の光をうけて闇の中に凄いほど美しく浮いて見える、彼はさすがに少し蒼ざめたが、動揺の色など微塵もみせなかった。伝七郎はその顔をまじまじと見まもっていたが、とつぜん、「わッはッはッはッは!」と笑いだした。

三人があっけにとられている前で、実に爽快に彼は笑ったのである、そして笑い止めると同時に、「おい銀之丞」とのしかかるような調子で呶鳴りだした、「貴様そんな男だったのか、貴様そんな下らない男だったのか」「それがどうした」「よく聞け、おれはな、貴様にどんな意地の悪いことをされても、満座の中で冷汗をかくようなめにあわされても、それから貴様に就てどんな悪い評判を聞いても、決して貴様を怨んだり憎んだり、軽蔑したりしたことはなかった、なぜなら、おれは貴様を信じていたからだ、貴様がすばらしい秀才で、学問にも武芸にもすぐれてい、智恵才覚も衆をぬくりっぱな人物であり、福山藩のためにやがては柱石ともなる