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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

06 第六分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 页

青空文庫

「惜しむべし、惜しむべし」

と、痛嘆幾たび、このみじめな主家の末路に哭いた。

後のことにはなるが――彼がいかに末路の主家を悲しんだかということは、その後天正十年、流寓落魄の果てに、備後の鞆で政職が死んだとき、その子氏職が、落ちぶれ果てているのを求め、信長に詫び、秀吉にすがり、旧主の子の助命に骨を折って、黒田家の客分として迎え、故主の旧恩にむくうことを忘れなかった事実を見てもよくわかる。

君君たらずといえども臣臣たり、――智あるも智に溺れず、彼は真面目な漢であった。

中国探題の居城として、まさに姫路は絶好な拠点だった。秀吉はそこに移るとすぐ、

「この城郭もよいが、様式のすべてが旧い。この城の設けられたときは、一地方の防塞として築かれたのだろうが、いまは時代がちがう、目的もちがう。信長公の図南西覇の基点として、秀吉がその前駆をうけたまわるところのもの。もそっと、雄大たらねばならん、重鎮の風を示さねばならん」

一族の浅野弥兵衛にこう命じて、直ちに改築――というよりはまったく新たに規模を革めて、その工事に着手させたのだった。

彼の建築好きは、いわゆる私生活中心のそれとはちがう。