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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
06 第六分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 页
建設好きなのである。信長が旧態を壊してゆくそばから、彼は新しいものを建ててゆく。信長の性格は、破壊によくあらわれ、秀吉の特性は、その建設好きによく出てくる。
「こんな大工事を起されて、信長公からお疑いをうけはしませんか」
官兵衛は心配した。信長の一面を知っているし、懲りていることもあるからである。が、秀吉は、
「だいじょうぶ――」
と、笑って、
「この城に、わしの母や妻子を入れさえしなければ。……わしの母や妻は長浜に置いてあるじゃないか」
と、いった。
「いかにも」
官兵衛もうなずいた。
「ところで、孝高。――足下は御著の城へ入って住め。幸いに、小寺政職が捨てて逃げたからそのあとへ」
「過分です」
「いや、お礼などは、却って、こちらが過分に存ずる。あの御著に住むには、なおなかなか骨が折れよう。――今もって、毛利に属する英賀城に三木通秋、山崎城に宇野祐清、朝水山城に宇野政頼など――あちこちに、うるさいのが、頑張っておる」
「お案じには及びません。その程度の、小城、山城などは、ひとつひとつ暇をみては、ふみ潰して参りますれば」
「――と存じて、御著に赴かれるようにたのみ申すのだ。