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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
06 第六分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 页
国を愛する念の出ない理由があろう。
ふかく思ってやらなければ可哀そうだ。和寇の涙を。――和寇の心を。
国外千里の異境に、名もわからず、花一枝の手向もうけず、天の星とともに黙している土中の白骨にも、いわせれば、綿々と、憂国の所以を吐くかもしれない。
事実。
室町幕府の長い時代を、ふたたび元寇の襲来もなく、外夷のうかがう眼からも防いでいたのは、幕府そのものの力でも何でもない。私設国防軍をもって任じていた、彼ら和寇の功績ではなかったか。
「みずから、海賊大将軍と唱えていたのは、事海外に関し、万一の難を、自国の外交上に及ぼすまい、愛する本国へ迷惑をかけまい、またその国家の名を傷つけまいとする――のふかい考えからと思われないこともない」
――などと秀吉のはなしは尽きないほどだった。そして前半生を八幡船に送って来たという三名は、却って、
「はあ、なるほど」
と、ただ感じ入っているばかりである。
秀吉は、ここで話の気をかえた。
「近頃はまた大いに事情が違うて来たな。西班牙のゼビエーという宣教師が来たのは、たしか天文二十年頃とか聞いているが、以来、来るわ来るわこの日本へ。