轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

にほんばし

日本橋

泉 鏡花

「日本橋」千章館、1914(大正3)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,697 字 · 177 页

青空文庫

悪くすると為にならんのですぞ。」と、教員らしい口も利く。

「さあ、何か存じません、待合さんかも、それは分りませんが、てんで私の方で伺う気はござりませなんで、頭字も覚えませぬよ、はい。」

「で、何か。」

とちょっと睨めつけた、が更って、

「あの、野郎は何かい、あれは、ついぞ見掛けぬ奴だが、阿爺は知っとるのですかい、奴をですがい。」

「ええ、私も今までお見掛け申しはしませんので、はい、いずれお客人でござりましょう。」

「客には違わんで、それゃ違わんで。どっちの客だ知っとるだろうが。」

「それは、もし、お尋ねまでもござりません、孫めがお附き申しておりましたよ。で、(旦那様、お初に。どうぞ何分。)と私御挨拶をしました処で、爺の口から旦那様が嬉しい、飲ましてやろう、と姉さんが申されたのでござりましたよ。」

跡方も無い嘘は吐けぬ。……爺さんは実に、前刻にお孝にもその由を話したが……平時は、縁日廻りをするにも、お千世が左褄を取るこの河岸あたりは憚っていたのである。が、抱主の家へは自分の了簡でも遠慮をするだけ、可愛い孫の顔は、長者星ほど宵から目先にちらつくので、同じ年齢の、同じ風俗の若い妓でも、同じ土地で見たさの余り、ふとこの夜に限って、西河岸の隅へ出たのであった。