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にっき

日記

宮本 百合子

18 一九三一年(昭和六年)

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 12,519 字 · 26 页

青空文庫

二月十五日

二月十六日

ひとりではいや。じゃ送りこんでやるというわけなり。

フロ心持よし、きくらしい。

但、部屋ガラン堂で、いやにガッとしていて落付かず。

十一谷集(平凡の)をよむ。

二月十五日(日曜)曇

○十一谷集、一名これを片恋集と申す。そういうものばっかりあつまっている。

○湯河原町の名物、椿油、きび餅、わさびづけ、みかん。狭い街を鳴動させて往復する自動車。町の中、ゆっくり歩くことは迚も出来ず。

○山の方に楽焼やがある。自分思いついた、一つロシア印象で、カシ皿を三枚やいてやれ、と。

○夜、部屋をかわった。こんどの室は東向、先より奥で落付く。

〔欄外に〕

○水色に塗った橋がある。川がある。山セキレイがその岩の上をとぶ。山山、竹藪、紅梅がさいてる。そして後の山には雪があった。山峡に赤い旗がヒラヒラしていた。

――あれ何?

――風の工合見て居りますんだそうです。

二月十六日(月曜)

○朝九時32分の汽車でYかえった。自分ひとり。室へテーブルを入れて貰い、椅子を入れて貰い。

これで仕事しなければならぬが、さて……

大して、やかましくはない。

○障子あけて、下を見ていたら八百屋が車をひっぱって来た。