轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あんこくせい
暗黒星
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」1939(昭和14)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,000 字 · 188 页
僕は、ひょっとしたら誰か塔の中へ忍んで行くのじゃないかと思いました。綾子姉さんが、塔の三階から懐中電燈の信号をするらしいことは、明智さんに聞いていたのです。そして、それとなく姉さんの挙動を注意するように言われていたんです。
むろん、姉さんが今度の事件の犯人だなんて考えられません。そんなことはあり得ないと思うのです。誰かほかのやつが姉さんに化けていたのかもしれません。ええ、きっとそうです。でなけりゃ、あんなことができるはずはありません。姉さんがあんなことするなんて、想像できないのです」
一郎は何事か思い出したらしく、急に興奮の色を見せた。
「あんなことというのは?」
伊志田氏が不安な面持ちで聞き返した。
「それはこうなんです、その足音を不審に思ったので、僕は明智さんから言われていたことを思い出し、ベッドを降りて、音を立てないように、ソッと廊下を出てみたのです。
足音をやりすごしておいてから、廊下へ出たので、もう人の姿は見えなかったけれど、誰かが塔の方へ行ったことは確かなんです。ですから、僕も壁を伝うようにして、足音を忍ばせながら、その方へ歩いて行きました。