轻松读懂日语经典作品
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あんこくせい
暗黒星
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」1939(昭和14)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,000 字 · 188 页
塔の通路には、電燈がついていないので、僕の部屋から一つ角を曲がると、突然廊下が暗くなります。僕はその暗い廊下へはいって行きました。
そして今考えてみると、あの僕の倒れていた物置き部屋の前あたりにさしかかった時に、僕は背中の方で、スーッと空気の動くのを感じたのです。誰かうしろに人がいるのです。
僕は前の方ばかり注意していたので、うしろから人が近づいてくるけはいを感じて、ギョッとしました。それで、思わず立ち止まって、うしろを振り向こうとしたのですが、それよりも先方がすばやかったのです。
僕は誰かわからないやつに、うしろからグッと抱きしめられました。それと同時に、僕の鼻と口が何か濡れた布のようなもので、ピッタリ塞がれてしまったのです。
なんともいえぬいやな匂いでした。僕はその烈しい匂いを腹一ぱい吸い込んでしまったのです。すると、なんだか、からだが深い海の底へでも沈んで行くような気持がしました、今考えてみれば、麻酔剤だったのです。
それから僕は怖いような美しいような、わけのわからない夢を見つづけていたのですが、正気を失った僕は、そいつのために、あの物置き部屋のカーテンの蔭へ連れ込まれたのに違いありません。