轻松读懂日语经典作品
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あんこくせい
暗黒星
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」1939(昭和14)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,000 字 · 188 页
運転手君、迷惑ついでに品川駅までもう一と走りしてくれないか」
「ようござんす。こうなったからには、どこまでもご用をつとめますよ」
運転手は気さくな男であった。
「ホテルなんかじゃない。あの地味な和服は安ホテルにもしろ、ホテルへ泊まるというがらじゃない。やっぱり日本宿だ。なるべくみすぼらしい日本宿を探すんだ」
二人の刑事は品川駅の付近で自動車を降りると、交番の警官に聞き合わせて、次々と旅人宿を調べて行った。品川駅近くには旅館が軒を並べているというわけではないが、しかし、表通り裏通りにチラホラと点在して、十数軒の旅人宿がある。
尋ね尋ねて十一軒目、とある裏通りの、尾張屋という古風な日本旅館には、玄関をはいらぬ先から、なんとなくそれらしい匂いが感じられた。
土間に立って名刺を出すと、五十あまりの番頭が、うやうやしく式台にうずくまった。三島刑事は声を低くして、綾子の人相風体を告げ、ゆうべ遅くそういう娘が泊まらなかったかと訊ねた。
「へえ、そのお方なら、お泊まりでございますが、何か……」
番頭はニヤニヤ笑って揉み手をした。
「えっ、泊まっている? じゃ、まだいるんだね」