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あんこくせい

暗黒星

江戸川 乱歩

「講談倶楽部」1939(昭和14)年1月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,000 字 · 188 页

青空文庫

三島刑事が北森課長の旨を受けて、二人をそとへ運び出す手伝いを呼ぶために、急いで地下道を引っ返して行った。

「それにしても、犯人はこんなまねをして、一体どうするつもりだったのかな。餓え死にするのを待つというのは少し気の永い話だが」

北森氏は、なんとなく腑に落ちぬ様子でつぶやいた。

「いや、犯人は餓え死によりも、もっと恐ろしいことを考えていたのです。ごらんなさい、これです」

明智は穴蔵の隅へ歩いて行って、壁の隅を照らしてみせた。そこには直径一寸以上もある瓦斯管のような太い鉛の管が、穴蔵の天井を伝って、床の近くまで、鼠色の蛇のように這い降りていた。

「おやっ、鉛管ですね。それじゃそこから瓦斯を送るつもりだったのだね」

北森氏がいよいよ驚きを深くして叫んだ。

「いや、瓦斯よりももっと恐ろしいものです」

「えっ、瓦斯よりも恐ろしい?」

「僕は負傷する前に、この穴蔵を発見して、よく調べておいたのですが、この鉛管はその時からここに取りつけてあったのです。昔からこんなものがあったわけではありません。犯人が、わざわざとりつけたのです。ごらんなさい。この鉛管はまだ新しく、ピカピカ光っています。