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あんこくせい
暗黒星
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」1939(昭和14)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,000 字 · 188 页
僕は、あの時、君の推理を聞いているあいだに、はじめて君を疑う心が起こった。それまでは、君の美貌にあざむかれて、こんな若い美しい青年に、人殺しができるなどとは夢にも考えなかったのだ。あの時まで、僕は心から君の友だちだった。しかし、君のまことしやかな推理を聞いて以来、僕は君の敵になった。君を犯人と仮想してあらゆる関係を考察した。そして、君こそ犯人だという結論に達したのだ。
そこで、僕はちょっとしたトリックを用いて、君を油断させた。きのう君が病院へ電話をかけてきた時、僕はあす退院するといった。それまではどうしても君のうちへ行くことはできないから、充分気をつけて身を守るようにといった。そういって君を油断させておいて、一日早く、きょう僕はここへやってきた。君はそれをまったく予期していなかった。あすまでは大丈夫だと、たかをくくっていたのだ。
僕はここへ着くとすぐ、書生が君のところへ運ぶ紅茶の中へ、多量の眠り薬をまぜて、しばらく君を眠らせておいた。君が地下室の発見されたことを気づいて、逃げ出すようなことがあってはいけないからだ」
その時、突然、ドアにノックの音がして書生が名刺を持ってはいってきたので、明智は話を中絶して、それを見なければならなかった。