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うんせききこう

柳宗悦 民藝紀行

柳 宗悦

柳宗悦『柳宗悦 民藝紀行』。同一底本的分册已合并为一书。收入:雲石紀行、沖縄の思い出、思い出す職人、樺細工の道、北九州の窯、現在の日本民窯、小鹿田窯への懸念、全羅紀行、台湾の民芸について、多々良の雑器、地方の民芸、苗代川の黒物、日田の皿山、北支の民芸(放送講演)、益子の絵土瓶、蓑のこと、野州の石屋根、陸中雑記。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 133,050 字 · 276 页

青空文庫

丘の間から海が現れてはまた消える。峠から眺め下ろした入江は湖水のように美しい。柔かい光を受けて島々を静かに浮ばせ、夢のような画境を吾々に贈る。忘れもしない。木浦に近づいて終りの峠を越えた時、突如として吾々の前に開けたのは夕日をあびる儒達山の光景である。鋭い岩壁のそそり立つ二た峰の山懐に、さながら蔦でも生え上るように、小さな民家が下から上へと重り合って、まつわり着く。あの灰色の柔かい傘を有った蕈が、丘一面に集り合って生い茂るようにも見える。山に眠る家、家を庇う山、人と自然とがここでは互に抱き合う。あの家々がなくばあの山々はなく、あの山がなくばあの家々はない。こんなにも不思議な美しさを有つ場面がこの世にそう沢山あろうとも考えられぬ。金剛山で朝鮮は名をなすが、木浦は儒達山で名をなしてよい。否、全鮮に幾つかの風光を数えるとしたら、私たちは夕べの儒達山をその一景に加えるであろう。画家であったら筆を染めたい。木浦の町は忘れるとも、あの神秘な儒達山は忘れないであろう。左右には遠く水がけぶる。私たちは立ちつくした。

沈む日に促がされて宿に入る。

五月八日。起きて木浦の公設市場を見る。