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うんせききこう

柳宗悦 民藝紀行

柳 宗悦

柳宗悦『柳宗悦 民藝紀行』。同一底本的分册已合并为一书。收入:雲石紀行、沖縄の思い出、思い出す職人、樺細工の道、北九州の窯、現在の日本民窯、小鹿田窯への懸念、全羅紀行、台湾の民芸について、多々良の雑器、地方の民芸、苗代川の黒物、日田の皿山、北支の民芸(放送講演)、益子の絵土瓶、蓑のこと、野州の石屋根、陸中雑記。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 133,050 字 · 276 页

青空文庫

煙に燻ぶって黒ずんでいるが、実に色様々なものが用いてある。もし許して手に触れさせてもらえたら、百余年の織物の歴史が一目で分るに違いない。だが誰もそんなことをする気持ちはない。何か物凄く怖く気味の悪い姿がなまなましく心に迫る。何が布の中に匿れているのか分らない。だがそれはしばしば棒であり、その棒の頭には時折人間の顔や馬の首が刻んである。今日まで知られているものでは、おそらく天正の銘記のあるのが一番古いであろうか。少しでも不敬なことをすればそのたたりは覿面で激しいという。だから誰も恐れ敬っている。

こんな土俗的な神がどこから起ったのか。オロッコやアイヌの守神(シャーマン)の様子を想い起さないわけにゆかぬ。削りかけの中に御神体が埋まっている様は、どうしてもその間に因縁があるのを想わせる。だが私はこんな民俗学者の問題をここに取り扱おうとするのではない。こういう信仰を土俗的とか迷信とかいって一途に蔑むくせがあるが、そんな安価な見方で農村の暮しを判いていいだろうか。そのことの方が私には問題である。禁制の恐れは、人間をどんなに真面目にしていることか。彼らのいい手仕事の裏に、彼らの信心が動いてはいないだろうか。