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うんせききこう
柳宗悦 民藝紀行
柳 宗悦
柳宗悦『柳宗悦 民藝紀行』。同一底本的分册已合并为一书。收入:雲石紀行、沖縄の思い出、思い出す職人、樺細工の道、北九州の窯、現在の日本民窯、小鹿田窯への懸念、全羅紀行、台湾の民芸について、多々良の雑器、地方の民芸、苗代川の黒物、日田の皿山、北支の民芸(放送講演)、益子の絵土瓶、蓑のこと、野州の石屋根、陸中雑記。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 133,050 字 · 276 页
だが地図で見るなら如何に衣川村の谿谷の、一番奥の小さな村だかを知られるであろう。この増沢は五十戸ほどよりなく、人々を集めても四百人に足りない。私がここにその小さな村について語るのは、この村が漆器の村として、広く知られていいからである。わずか十二戸、三、四十人余りの人が携っている仕事に過ぎなくはあるが、語るに足りる様々な事柄がある。今まで詳しく伝えた人がないので、代って筆を執りたいのである。
漆器の村としてどれだけの歴史があるか。今はしかと記憶する者がいない。飢饉のため幾度か倒れ、倒れてはまた起きた事実があるので、遠いことの記録は何も残ってはいない。今知っていることはわずか五、六十年を溯らないようである。また村に古いものとして残るものも、そんなに時代があるとは思われない。だが陸中は古くから漆器を以て名高く、平泉の文化が何かの形でここにも残ったと想うのは、強ち無謀な空想ではない。だから漆器の村としての増沢の歴史は、相当古いのではないかと考えられる。近在に漆の木も決して少くはない。
この村から現に産出する品物の年額はほぼ三万円以内というから、漆器の産地としては決して大きなものではない。