轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

02 第二部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,073 字 · 223 页

青空文庫

「柿崎に云いぶんがあるって」

「そうだ、しかしいまは石川の腕の手当をしなければならない」

「石川はおれが伴れてゆく」と内蔵助は云った。

「そう云わずに頼む」

「止めるな」と内蔵助は声をひそめ、じっと又五郎をみつめながら云った、「野中は誠実な人間だから云うが、おれはいつか西福寺へ来た人にまた会った、そしてすべてを聞いた」

「西福寺へ来た人――」

「おれたちに柿崎とはなれて扶持を取らぬかと、さそいに来た人があったろう」と内蔵助が云った、「おれはあの人に会った、あの人は新妻隼人といって、伊達家の一門、兵部少輔宗勝侯の用人だ」

「すべてとはどんな事だ」と兵庫介が訊いた。

「あとで話そう」と内蔵助は云った、「おれは島田にも、砂山、尾田にも話す、おれたちは今夜、西福寺に集まって相談する、野中もよかったら来てくれ」

「わからない」と又五郎は苦しそうに答えた、「私はこんなふうに別れ別れになることは反対だ、だが、みんなが集まるなら、はっきり約束はできないが、ゆくかもしれない」

「待っている」と内蔵助は又五郎の眼をみつめ、「おれは野中を信じるぞ」と云った。

又五郎は頷いた。

藤沢内蔵助は部屋へゆき、自分と兵庫介の荷物をまとめて戻ると、兵庫介をたすけながら出ていった。