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きゅうこんさんじゅうし
求婚三銃士
佐々木 邦
「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页
しかしそんなことを今更主張したところで本気にして貰えない。馬鹿な話だ。出し抜かれた上に内輪揉めが起った。悪い時は何処までも悪い。
「あゝ、詰まらない。気晴らしに公園へでも行って見ようか?」
と安達君は気分転換を思い立った。
「何処へいらっしゃいますの?」
と奥さんが丁度階段の下にいた。
「一寸その辺まで」
「あなたは私に同情ってものが些っともございませんのね」
「僕、然う叱られると困るんです」
「あれくらいのことを申上げるのは御懇意ずくですわ。面当てがましく直ぐにお出掛けにならなくても宜うございましょう?」
「散歩ですよ」
「私、御相談がございますの」
「承わりましょう」
と安達君は散歩を思い止まって、お茶の間へ従った。叶うことなら御機嫌を解きたい。軍師にお冠を曲げられては、この際大いに困る。
「安達さん、今の詰まらないお話、もう忘れて戴きますわ」
「僕、考えて見たら、二三年前のことでした」
「もう宜いのよ」
「吉川君が僕の家の借家へ美人が越して来たと言って自慢したんです。僕のところの方が若いぞと主張しましたから、それは若い丈けに注目を惹くと答えたんです」
「若いったって、二つか三つよ、精々のところ。