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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

「御親切有難うございます」

「何うするかね?」

「御心配には及びません。僕は然ういう病気は必ず直ると思っています。実は僕の中学時代の親友にそんなのがあったんです」

「ふうむ」

「級担任の先生が催眠術をかけて直しました。それで僕は催眠術に興味を持って、先生から習いましたから、僕の力で直せる積りです」

「ふうむ。君が催眠術をかけるのかね?」

「はあ。自信があります。若し僕でいけないようなら、先生を頼みます。先生は学校の方よりもその方が大家です」

「成程」

と溝淵閣下は驚いた。実は種々と病気を考えた末、これなら本人にも家の人にも確めることの出来ないと思うのを持ち出したのだが、偶然にも相手はそれを直す方便を持ち合せていたのである。

「僕、これで一寸玄人です」

「それは好都合だったな」

「病癖は大抵暗示で直ります」

「兎に角、今の話は絶対に含んで置かんといかん」

「はあ」

「病気という程のものでない。殊に君の手で直せるものなら問題にならん。俺も安心した。今まで通りに油断なくやるんだね」

「何分宜しく」

「一つ策を考えるかな?」

「はあ。お願い申上げます」

「今晩はゆっくり話して行き給え」

「しかしお邪魔じゃございませんか?」