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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

「あの時分から見ると進化したものさ」

「何を、この野郎」

と安達君は今はもう対等だ。

「僕の方は僕と瀬戸君だ。これがナカ/\面白い。同じ机に坐っていながら、一週間も口をきかなかったんだから、瀬戸君も変人さ」

と小宮君がやり出した。

「ハッハヽヽ」

と瀬戸君は変人を是認した。

「それから土曜日に僕が学校の帰りを芝園館へ寄ったんだ。明るくなった時見ると、隣りに瀬戸君がいた。『やあ』と初めて口をきいた。両方一緒だった。話せる奴だと思ったんだね」

「成程そんなことがあった。僕はあの時まで君を、迚も問題にならない堅人だと思っていたんだ。人間というものは飛んでもない誤解をするものだよ」

「変なことを言うな。若子さんに叱られる」

「ハッハヽヽ」

「僕達は急に仲が好くなってしまって、もう始終一緒だった。あの頃君は高輪にいたね。汚ない下宿だったじゃないか?」

「あすこから引っ越した先が偶然この二人の近所さ。僕がこの二人と懇意になったものだから君も狸穴組の仲間に入ったんだ」

「以来六年、悉皆意気投合してしまった」

「こんなのは一寸類がないよ。管仲、鮑叔、デーモン、ピシアスというところだろう」