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いきにんぎょう
活人形
泉 鏡花
「探偵小説第十一集 活人形」春陽堂、1893(明治26)年5月3日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 41,111 字 · 82 页
物をいうたびに腹へこたえて、こてえられねえ。「全体どうしたんだ。八蔵は頭を掻き掻きありし事ども物語れば、銀平は、驚きつまた便を得つ、「ふむ、それでは下枝は滑川の八橋楼に居るんだな。「ああ、どうしてか紛れ込んだ。おらあ、窓から覗いてたしかに見た。何とか工夫をして引摺り出そうと思ってる内に、泰助めが出懸ける様だから、早速跡を跟けて、まんまと首尾よくぶっちめる処を、さんざんにぶっちめられたのだ。忌々しい。「可し一所に歩べ。行って下枝を連れて帰ろう。「おっと心得た。「さあ行こうぜ。「参りまする参りまする。何かと申すうちに、はやここは滑川にぞ着きにける。
八橋楼の亭主得右衛門は、黄昏時の混雑に紛れ込みたる怪しき婦人を、一室の内に寝ませおき、心を静めさせんため、傍へは人を近附けず。時経たば素性履歴を聞き糺し、身に叶うべきほどならば、力となりて得させむず、と性質たる好事心。こうしてああしてこうして、と独りほくほく頷きて、帳場に坐りて脂下り、婦人を窺う曲者などの、万一入り来ることもやあらむと、内外に心を配りいる。
勝手を働く女房が、用事了うて襷を外し、前垂にて手を拭き拭き、得衛の前へとんと坐り、「お前様どうなさる気だえ。