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いきにんぎょう
活人形
泉 鏡花
「探偵小説第十一集 活人形」春陽堂、1893(明治26)年5月3日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 41,111 字 · 82 页
といいさまお藤の手を捉うれば、「あれえ。「喧しいやい。と白き頸を鷲掴み、「この阿魔、生意気に人好をしやあがる。汝どうしても肯かれないか。と睨附くれば、お藤は声を震わして、「そればっかりは、どうぞ堪忍して下さいまし。と諸手を合すいじらしさ。「応、肯かれないな。よし、肯かれなきゃあ無理に肯かすまでのことだ。して見せる事があるわい。というは平常の折檻ぞとお藤は手足を縮め紛る。得三は腕まくりして老婆を見返り、「お録、一番責めなきゃ埒が明くめえ。お客の前でき廻ると見苦しい、ちょいと手を貸してくれ。老婆はチョッと舌打して、「ても強情なお嬢だねえ。といいさま二人は立上りぬ。高田は高見に見物して、「これこれ台無しにしては悪いぜ。「なあに、売物だ。面に疵はつけません。
泰助は、幕の蔭よりこれを見て、躍り出んと思えども、敵は多し身は単つ、湍るは血気の不得策、今いうごとき情実なれば、よしや殴打をなすとても、死に致す憂はあらじ。捕縛してその後に、渠等の罪を数うるには、娘を打たすも方便ならんか、さはさりながらいたましし、と出るにも出られずとつおいつ、拳に思案を握りけり。
得三はかねてかくあらんと用意したる、弓の折を振上ぐれば老婆はお藤の手を扼りぬ。