轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

りょうきのはて

猟奇の果

江戸川 乱歩

前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页

青空文庫

一つ丈け動くのがある。

両手でその石を抜いて、真黒な穴の中へ怖々手を入れて見た。案の定、手に触るものがあった。

取出す。一つ二つ三つ……合計六個の、なんと、蟇口が這入っていたではないか。一つ一つあけて見たが、中はいずれも空っぽだ。

愛之助は慌てて、それを元へ戻し、石で蓋をした。そして、彼自身泥棒ででもある様に、ビクビクしてあたりを見廻した。

さっきの男が、(品川四郎とそっくりの人物が)この様なものを、ここへ隠したからには、彼はスリであったのだ。しかも中々玄人のスリだ。空財布の処置にまで、周到な注意をして、共同便所へ捨てる様なことはしないで、先ず絶対に発見の虞れなき、石垣の石のうしろへ隠す程の奴だから、どうして素人の出来心ではない。それに何百円の収穫か知らぬが、財布が六個だ。

道理で、彼奴、人込みばかり選って歩くと思った。見世物に気をとられている様な風をして、その実隣近所の人の財布を狙っていたのだ。

「実に滑稽だぞ。品川の奴、いやがらせてやらなくてはならぬ。僕が君と間違えて声をかけた奴が、スリだった。顔から形から君と寸分違わぬスリだった。間違って捕縛されぬ用心をしたまえってね」