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りょうきのはて

猟奇の果

江戸川 乱歩

前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页

青空文庫

「伺いましょう。出来るだけ詳しく話して見て下さい。ここにいるのは、御承知かも知れませんが有名な民間探偵の明智小五郎氏です。御話の様な事件には、明智君もきっと興味を持たれることと思いますから」

品川氏は明智と聞いて、チラとその方を見て、一寸赤面した。何故か分らない。明智の優れた才能を知っていて、この思いがけぬ邂逅を喜んだのかも知れない。

彼は長い物語を始めた。それは凡て読者の知っていることだから、ここには省略するが、場末の活動小屋で見た怪写真のこと、新聞の写真に顔を並べた二人の品川四郎のこと、赤い部屋の驚くべき対面のこと、そのもう一人の品川が青木の細君と道ならぬ関係を結んでいたらしいこと、青木がその為に非常に悩んでいたこと、一週間ばかり前(それが青木の顔を見た最後なのだが)彼が夜更けに突然訪ねて来て、

「君は確かに品川君だろうね。生きているんだね」

と妙なことを口走ったまま、ポイとどこかへ立去ってしまったこと、間もなく細君の芳江が行方不明になったこと、その時青木の住所の附近で、品川と芳江とが肩を並べて歩いているのを見かけたものがあること、等、等、等を詳細に物語り、そういう訳だから、この両人の行方不明事件の裏には、あの怪物がいるに違ない。