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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页
その望みが叶って、あたし、こんな嬉しいことはありゃしませんわ」
乞食は、目に一杯涙を溜めていた。
「マア、世の中に、こんな不思議なことってあるもんでしょうか」
美禰子さんも、それまでよりも、十倍も慈悲深い心持になって嘆息する様に云った。
境遇では天と地程も違った、この二人の娘は、忽ちにして、姉妹の様に仲よしになってしまった。
美禰子さんが聞くに従って、乞食娘は詳しい身の上話をした。その内容をここに記す必要はないけれど、彼女の身の上は誠に憐むべきものであった。
言葉は上品だし、顔は美しいし、気質もそんなにひねくれてはいない様だ。
美禰子さんは、もう新しいお友達が、一人ふえでもした様に、有頂天になってしまった。
しめっぽい、身の上話がすむと、乞食娘も高貴の令嬢とお友達みたいにしている嬉しさに、段々快活になって来たし、令嬢の方でも気のつまる涙話にあきて、はしゃぎ始めた。
「アア、いいことを思いついたわ。マア、すてきだわ。ネエお前、あたし今、それはそれは面白い遊び方を考え出したのよ」
美禰子さんが、目を輝かせて叫んだ。
「アラ、あなた様と、わたくしとが、何かして遊ぶんですって」