轻松读懂日语经典作品
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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页
人の喜ぶ音楽や芝居が嫌いだなんていう人間は片輪さ。趣味は広いに越したことはない。けれども俺は若い時に道楽を覚える暇がなかったんだね。十五の時に箱根山を夜通し逃げて来て、小僧から番頭と全く自力で仕上げたんだから片輪にならなければ身の立たない境遇だった。生やさしいことじゃないが、否応なしで、自然商売の方に精が出た。ところでお前達はどうだろう? 立派な学校を卒業して学問が充分ある」
「いゝえ、一向駄目ですよ」
と寛一君がお辞儀をした。
「趣味の方も発達して、西洋音楽まで能く分る」
「いゝえ、何う致しまして」
と新太郎君も恐縮した。
「お前達は何も彼も土台が出来ているから仕合せだよ。俺達よりも世界が広い。仕事をするにもそれ丈け楽な次第だ。けれども亦それ丈け油断がある。こゝを能く考えて貰いたい。早い話が、近所界隈を御覧、銀座の角屋敷は何処も一代で潰れるという評判だけれど、何も角屋敷に限った話じゃない。無教育で商売を拵え上げた片輪の親父さんと趣味の広い学校出の息子さんとは何うしたって肩の入れ方が違うからさ。店員が又それを直ぐに見て取る。恐ろしいものだよ。人間は矢っ張り或程度まで片輪になる必要がある。