轻松读懂日语经典作品
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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页
逗子へ遣ろうよ、何うせ今月一杯宿が明いているんだから」
と西川さんは考えている。間代は既に新太郎君が払ってある。利用しなければ損だから、店員の慰労に振り向けようというのだ。
「賄も持ってやりましょうよ」
と母親が申出た。
「無論さ。ケチなことは言わない。来年は皆丈夫の積りだからね。ハッハヽヽ」
「毎年じゃ溜まりませんわ」
「悉皆官費なら皆喜んで参りますよ。栗林さんもそれなら休暇を取るなんて言い出すかも知れません」
と新太郎君は笑った。
こんな話の中に食事が済んだ。父親はいつになく口軽く、母親も湯上りの顔をテカ/\させて若返っていた。新太郎君は生れ更り甲斐があった次第である。それは然うと、今夜これから松浦さんへ見舞いに行くように仰せつかった積りだったが、その件は到頭沙汰なしに終った。親父、一番大切の用事を忘れている。此方から進んで訊くのも変だし、立つのも惜しいし、煙草に火をつけて及ぶ限り手間を取った。しかし父親も母親も矢張り黙っている。仕方がないから、
「お先へ」
と言って屑く立ち上った時、
「新太郎や」
と母親が呼び止めた。
「はあ」
と新太郎君は発条仕掛けのように坐った。