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だっせんむすこ

脱線息子

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页

青空文庫

不断女親に対して斯うだと真に申分ない。

「あなた」

「よし/\。新太郎や、お前に一つ話して置きたいことがある」

と父親は膝を進めた。

「はあ」

「お前もこの頃は精が出るそうで何より結構だ」

「何う致しまして」

「お前が聢乎してくれゝばこの通り覿面だ。俺も今度は安心して宜かろうと思うが、何うだな? 大丈夫だろうな?」

「大丈夫です。今までのことは申訳ありません」

「何あに、小言を言うんじゃない。ところで、その何だ。松浦さんの娘さんのことだが……」

「はあ」

と新太郎君は真赤になって俯向いた。

「俺はお母さんからも寛一君からも種々と話を聞いて、縁談としては申分ないと思っている。お前が貰う嫁だから、お前の気に入りさえすれば宜いようなものの、俺等にも些っと註文がある。俺は転地をした序に能く見て来た。結構な娘さんだ。新太郎もナカ/\目が高いとお母さんにも言ったことさ」

「…………」

「俺等には異存がない。そこで世間話の序に松浦さんに当って見た。すると松浦さんもお前に異存がない。あの若奥さんもお前を信用しているような口吻だった。俺は何うだろうかと思ったが、二人ともナカ/\道理の分った人で、持ち出し栄えがあった。