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だっせんむすこ

脱線息子

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页

青空文庫

と時折思案に余す。

「進捗中だからさ。それで鳴りを静めているんだ」

と寛一君はいつも善意に解釈している。

「しかし先方のガ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ナーの容態が好いんだか悪いんだか分らない」

「好いのさ。悪けりゃもう疾うに黒枠が来ていらあ」

「好くも悪くもないのかも知れない。それなら話は未だあのまゝだ」

「何あに、出雲守が出動しているよ」

「でも、家へ一向来ないもの」

「態と来ないのさ。宮地さんが顔を見せた日には店員は皆直ぐ縁談と思ってしまう。来ないところに意味がある」

「何処までも楽観説だね。君と話していると、つい釣り込まれて元気が出るが、一人になると又考え出す」

と新太郎君は事実その通りだった。それで或晩のこと、松浦さんの方の件は一切俺に委せて置きなさいという父親からの申渡しに背いて、電話をかけて見た。しかし松浦さんは生憎外出中だったので、

「それでは何誰かお家の方に」

とやった。ひょっとして秀子さんが出ないものでもないと思ったのである。ところがお母さんらしい声が聞えて、それも、

「はい。松浦は唯今屋敷に居りません。はい。私で宜しければお話を伺って置きましょう。