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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页
「すると私が強過ぎたのでございますね?」
「今更仕方ありません。斯ういう因縁ごとでしたろう。清次郎はもう長いことはありませんよ」
「兄さん、よして頂戴」
「精々二三年でしょう。何うか大切にしてやって下さい」
「兄さん!」
と制して、貞子夫人は泣き出した。悲しい涙か口惜しい涙か分らなかったが、兎に角気に入らないと直ぐに立ってしまう人がいつまでも首を垂れて坐っていた。
この日、操さんは予定の行動で秀子さんの縁談のことを伯父さんに持ち出した。逐一聞き取った上、伯父さんは、
「お前達までお母さんにそんな遠慮をしているのかい? よし/\、俺に出来ることなら何でもやってやる」
と言って、快く引受けてくれた。後から友三郎さんが内証で上って相談することになった。
操さんはナカ/\曲者だ。その晩、お母さんに、
「お母さん、渋谷の伯父さんは秀子に丁度好い縁談があると仰有っていましたよ。お父さんがもう少しお直りになってから、改めてお母さんに御相談申上げるそうでございます」
と予備知識を注入して置いた。
それから友三郎さんが西川さんと会見した。その結果、既に暗中飛躍を始めていた宮地さんが渋谷の伯父さんを訪れることになった。