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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页
「何だい?」
「戦イヨ/\正々堂々の陣に入ったね?」
「同じことばかり言うなよ」
「しかし何うだい? 形勢は」
「イヨ/\出馬だ」
「素敵々々」
「後から話す」
と新太郎君は父親の方をチラリと見た。
「おい。話せよ」
と寛一君はそれから幾度も誘いかけた。
「今夜定る」
と新太郎君はそれ丈けを答えた。
夕刻、ガ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ナーが引っ込んで店員達が帰り支度を始めた時、寛一君はもう遠慮がなかった。新太郎君の方へ椅子を摺り寄せて、
「おい。真正に今夜かい?」
と訊いた。
「うむ。もう定っているかも知れない」
「お芽出度う」
「いや、何方に定るか未だ分らないんだよ」
「おや/\」
「実に頑冥不霊な婆だね。何なら、『勝手にしやがれ』と啖呵を切るところだが、然うしてしまえば形なしさ」
「何を言っているんだい」
「これは矢っ張り駄目かも知れないよ」
「宮地さんの見込は何うだね? 乗込むからには充分成算があるんだろう?」
「例の士族平民で行き悩んでいるんだそうだ。これぐらい侮辱されゝば僕も諦めるのが本式だろうね?」
「然うだろうな。多少見識のある人間なら」
「こん畜生!」
「冗談は兎に角、何うなったんだよ?」