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がいとうからみたしんとうきょうのりめん

街頭から見た新東京の裏面

杉山 萠円

「九州日報」1924(大正13)年10~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,546 字 · 178 页

青空文庫

五銭や七銭のものは震災後ズッと減ったので、縁日物と云っても馬鹿に出来なくなった。

こんな縁日商人は上等のところを一つ売れば、二三日乃至一週間は楽に喰えることが、品物のタネを洗って見ればすぐにわかる。

靴下は二度染め。シャツは洗い返しで、糊とアイロンが巧妙に利いている。硝子の水晶、鉛やアルミの鍍金鎖なぞは説明までもない。友禅と名づくるものは、浅草の活動館のメリンスの旗や何かを強い薬で色を抜いて、印刷同様の片側染めにしたもので、汗が出ると肌に染みる、引けば破れるという代物である。

「天保銭一枚がもう無くなった」というのは疾の昔の事。三人で一円持って浅草に行って、活動を見て、すしを喰って、それで電車賃が余るか余らないかという十年前の勘定でさえ、今はもう夢の夢となっている。

昨年か一昨年かの事であったそうな。観音様のまわりに居る興行師が寄り合って、面白い統計を作った。その統計の眼目となっているものは、浅草に来る人々の懐にいくら金があるかという事である。

これはその組合の仕事の標準となるべきもので、非常に厳密な且つ巧妙な手段に依って作られたものだそうだが、その結果、あの雲霞の如く浅草に押し寄せる人々は、平均三人で五円の金を持っている事がわかった。