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がいとうからみたしんとうきょうのりめん

街頭から見た新東京の裏面

杉山 萠円

「九州日報」1924(大正13)年10~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,546 字 · 178 页

青空文庫

こんな風だから彼等東京の学生生活には、一般人の生活と違った底抜けの自由さと奔放さがある。そうしてその自由さと奔放さは、震災後に流行する鳥打帽の下から現われたものでなければならぬ。

彼等はこの鳥打帽式の自由な奔放な生活振りに依って東京を色付けている。風俗、商売、女等に彼等の思想傾向を反映さしている。

排米問題の時、真先に米国物を買わなくなったのは彼等学生であった。ところが近頃舶来品排斥思想が一般に行き渡ると、真先にこの習慣を打ち破って舶来のノートや鉛筆を買い始めたのは矢張り彼等学生であった。舶来の石鹸、香水、歯みがき、ハンケチ等いうものを惜し気もなく買うのは彼等学生であるという。下宿屋で文化生活に凝るのは学生に限るとまで云われている。

日本第一の剛健質朴を以て東都に幅を利かした一高の学生は、この頃羅紗のマントを好まなくなった。彼等の仲間にも鳥打帽が流行り出したという。

一葉落ちて天下の秋である。震災後の東京に於ける制帽の凋落……鳥打帽の流行は、単に学生の平民化、智識の民衆化ばかりを意味するものであろうか。

その鳥打帽は前の学校当局の言を借りて云えば、矢張り地震鯰が揺り出したものである。