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がいとうからみたしんとうきょうのりめん

街頭から見た新東京の裏面

杉山 萠円

「九州日報」1924(大正13)年10~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,546 字 · 178 页

青空文庫

「品川ア――……品川ア……山の手線、新宿……方面行乗換えエ……品川ア――……品川ア――……お早く願いまアす……」

という特別に異様な割れ鐘声を聞くであろう。記者も変な声だなと思って、窓から首を出して見た一人であったが、不思議なことには怒鳴っている駅夫の顔が見えない。変だなと思ってキョロキョロ見まわすと、それはホームに備え付けられた蓄音機で、声自慢の駅夫に吹きこませたものだとわかった。

いずれ鉄道省の新しい試みであろうが、折角の事なら鶯の初音のような声にしたらどんなに有り難いことであろう。それとも寧の事、有名な女優か何かの声にでもしたら、ホームの雑音にまぎれず、旅客も耳を澄まして聴くだろう。殺気立ったり疲れたりした旅客の心理状態を和らげる上からいっても、御趣旨徹底の上から見ても、まことに結構であると思われるが、いずれにしても新しいには間違いない。この塩梅では震災後の東京は余程新しくなっているであろう。交通巡査に自動人形を立たせ、市長の椅子に盲判押捺器を据え付けていはしまいかと、取りあえず度肝を半分ばかり抜かれたのであった。

東京駅に着くと、駅前に何百となく蟻のように這いむらがる自動車、その向うに流るる電車の行列、煙のように集散する人、その又向うに数万の電気を点して、大空を蔽うて立つ数個の大ビルディング、その