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がいとうからみたしんとうきょうのりめん
街頭から見た新東京の裏面
杉山 萠円
「九州日報」1924(大正13)年10~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,546 字 · 178 页
天下の旗本を焼豆腐になぞらえた、昔の意気はどこへ行ったか。それは昔の夢物語りで、今の江戸ッ子は切っても赤くなくなったのか。
東京市政頽廃の裏面にはいろんな原因がかくれているであろうが、堀切前市長管掌はその原因を「選挙民の無自覚」に帰している。
選挙民の「無自覚」ということは、吾が大和民族が天から授かった美徳で、別段珍らしい言葉ではない。吾国の村会、町会、市会、県会、国会等いう議員が、今日の如く竹篦下がりに堕落して行く根本的の原因が、国民の政治的智識の欠乏、言葉を換えて云えば愛村、愛町、愛市、愛国心等が薄いのに原因していることは誰でも知っている。仮令普選になっても、美徳がある限り天下はいつまでも太平であろうとは誰でも感じていることで、この美徳を打破って憲政有終の美を満たすには、唯一つ「選挙民の自覚」あるのみというも亦十人が十人自覚している。
唯、それが実際に行われないまでのことである。
これがわかっていて行われない事実が、東京では最も甚だしい。つまり東京人は、大和民族の実際上の無自覚性を、最も極端に発揮していることになるのである。
羅馬を亡ぼしたのは羅馬市民の「無自覚」