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がいとうからみたしんとうきょうのりめん

街頭から見た新東京の裏面

杉山 萠円

「九州日報」1924(大正13)年10~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,546 字 · 178 页

青空文庫

というのはどんなのか。

これはなかなか説明しにくいが、手早く云えば、「江戸ッ子」というよりも「現代東京人」と云った方がわかり易い。震災後各地から押寄せて……又は前から居残って、新しい東京の気分を作りつつある連中で、江戸前の風味なぞはあまりかえり見ない。乙な洋食や支那料理、凝ったアイスクリームを求め、カフェー女の本名を探り、ヤゾーを作って大向うから怒鳴る代りに、亜米利加ものや新派の甘い筋に手をたたき、歌沢の心意気よりも、マンドリンに合わせた「籠の鳥」のレコードを買う。もし一人か二人の社会主義者、某署の刑事、有名な芸術家や選手なぞと心安ければ、現代式東京人としては申し分のない資格が付く。況んや女優と片言でも話をしたとなれば、新人として無上の尊敬を受けるであろう。

こんな連中がバラック町を横行して、ムッとする位新しい東京気分を作りつつあるので、東京市はまるで生れかわって、古い江戸ッ子は絶滅したかとは思われる位である。

とはいえ、古い「江戸ッ子」も居るには居る。ただ北海道のアイヌ人が、日本人に圧迫されて次第に衰滅して行くように、彼等も現在の新しい東京人に押されて、衰滅の一路を辿っていることは疑われぬ。