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がいとうからみたしんとうきょうのりめん

街頭から見た新東京の裏面

杉山 萠円

「九州日報」1924(大正13)年10~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,546 字 · 178 页

青空文庫

こうした彼等の持前は、彼等の家を訪問して見ると一層よくわかる。

彼等の家は台所の隅までチンマリと小奇麗である。彼等の応対振りもそうで、御馳走ぶりもこの範囲を免れない。一しきりはお世辞を云うがじきに黙ってしまう。よほど気を詰めて、当り当りだけ挨拶をしてサラリと引き上げなければ、こちらはともかくも、彼等の神経がお客に対してそう長く持ちこたえられないらしい。

そんなら彼等は忙しいかというとそうではない。お客を追っ払った後は、水入らずでボンヤリしている。極く懇意な友達と寝ころんで話す。寄席に行く。講談や夕刊を読む。世間話をする。茶を飲んで寝るといったような風で、その趣味までも極めて消極的な文化式である。

彼等はだから現代の文化に何者をも与えない。彼等は只批評をするばかりで、共鳴も反対もしない。只冷やかに笑って見ていたいのである。新聞の三面記事を見ても、つまりは「馬鹿だなあ」とか、「つまらねえ」とか云って、自分のプライドを満足させるだけであとは忘れてしまう。

こうした消極的な文明的な「個人主義」が、江戸ッ子の智識階級をすっかり冷固まらしているから、東京の市政が如何に腐敗していても、彼等には何等の刺戟を与えない。