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がいとうからみたしんとうきょうのりめん

街頭から見た新東京の裏面

杉山 萠円

「九州日報」1924(大正13)年10~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,546 字 · 178 页

青空文庫

さもなくとも理髪店のビラの種類、八百屋や駄菓子屋の店の品物、子供相手の飴細工や粉細工の注文振りを見ても、ここいらに江戸ッ子が居るなと思わせられるものである。それが震災後のバラック町になってから、そんな気はいがちっとも見当らなくなった。

神田の青物市場付近なぞは随分神経をとんがらして見たが、成る程、江戸ッ子らしい兄いや親方が大分居るには居るけれども、よく見ると、彼等のプライドたる鉢巻きのしぶりや売り買いの言葉なぞに、昔のような剃刀で切ったような気が見えぬ。その他、朝湯に行くらしい男のスタイルを見ると、頭の恰好、着物の着こなし、言葉付き、黒もじのくわえぶりに到るまで、非常に平凡化しているのは事実である。

記者は少々落胆の気味で、今度築地に出来た魚市場に行って見ると、居た居た、鬚を皮の下まですり込んで、肉に喰い込むような腹かけ股引きに、洗い立ての白鉄火を着た兄い連が、新しい手拭を今にも落ちそうに頭のテッペンに捲き付けて、駈けまわっていた。

「アラヨーッ」

トットットットッと曳き出す掛け声をきいて、記者は久し振りで溜飲が下がったような気がした。

吝ったれた兄哥