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がいとうからみたしんとうきょうのりめん
街頭から見た新東京の裏面
杉山 萠円
「九州日報」1924(大正13)年10~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,546 字 · 178 页
これ位の程度の江戸通をたよりに、記者はその辺の往来をノソノソあるいて見た。
寿司を握っている手付きや、海苔をあぶるにおい、七厘の炭のよしあし、火加減、又はまぐろの切り加減なぞをよっく見た。
天プラ屋の煮え立つ油のにおいを嗅いだり、ころもの色をながめたりした。
煮売屋に据えてある酒樽の商標や、下げてあるビラの種類を見た。洋紅で真赤に染めてあるウデ蛸の顔をながめた。
どれを見ても江戸ッ子のにおいが薄いようであった。上等とは思えなかった。醤油もいいにおいや味がしなかったようである。
塩せんべいは大枚十銭がものを買って噛じって見たが、焼き加減にムラのあるのがよくわかった。
ソバ屋へ這入って見たが、ツユの味なぞは福岡あたりのよりおいしいと思った。薬味のネギの中に古葉と新葉とあるのが、百姓だけにすぐ気が付いた。モリやカケはあまり売れず、弁当代りと見えておかめなんぞよく売れると聴いた。天麩羅もよく喰われるそうであるが、そんな意味なり随分あじけない話だと思った。
それから大奮発をして、この辺で一番上等だという小さなうなぎ屋に這入って、丼を喰いながら店の若い衆に聴いて見たら、大串、中串、小串のどれでも、別に八釜しい注文はあまりない。