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しんさいこうき
震災後記
喜田 貞吉
「社会史研究 第一〇巻第四号」1923(大正12)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,544 字 · 41 页
★広告のいろいろ
報酬を齎らさぬものであらねばならぬ。しかして自分は災後一週間、まさにそれを体験したのであった。云々。
この人は社会主義の研究をしてみたらしくもない人であったが、しかもその体験から得た右の感想は、取ってもって大いに参考とすべきものであらねばならぬ。
★広告のいろいろ
震火災に関係して新聞にあらわれた広告にもいろいろ注意すべきものがある。上野の寛永寺、浅草の浅草寺、芝の増上寺の三大寺は、どうしたことか連名で焼けなかったと広告した。焼けなかったという広告は、死ななかったという広告と同様で、平素ならば誠に珍妙な次第であるが、これもこのさいのこととて、他を安心せしむるための時宜に適したゆえんであろう。しかしその焼けなかったのはただの焼けなかったのではなくて、宮城とともに焼けなかったのだという。実はそのほかにも巣鴨、市ヶ谷の刑務所や、そんじょそこらの暴利屋などにも焼けなかったのが多いのだ。しかしそれらとともに焼けなかったとは書いてなかった。
自殺や人殺しにしばしば利用せられる猫いらずの本舗は反対に類焼の厄に罹ったことを広告した。しかしそれもただの類焼ではなくて、隣家某の出火に類焼したとの説明つきなのだ。