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しんさいこうき
震災後記
喜田 貞吉
「社会史研究 第一〇巻第四号」1923(大正12)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,544 字 · 41 页
九月十一日
九月十二日
時節がらきわめて御質素でお伴の自動車がわずかに五、六台続いたばかり。町内の人も知らぬものが多いほどだった。返す返すも御痛わしい限りである。
九月十一日(火)
自転車で見舞かたがた市内の状況視察に焼け跡を見てまわる。サンカの小屋のようなものが到る処に出来て、やっと雨露を凌いでいる気の毒な人が多い。中には早くも体裁のよいバラック建に着手しているのも少くないが、まだ焼跡に埋もれたままの屍体もあるらしく、屍臭のひどい場所にしばしば出合わす。
郷里の呉郷文庫主石原六郎君の息育市郎君が、東京在学の令弟の安否を気づかわれて出京されたついでだとて、自分の宅へも訪れられた。いつもながらの石原君の御厚志は感謝にたえぬ。郷里へ通信杜絶の今日定めて実家にも心配しているであろうにと、視察のままの事情の報告を御頼みした。
今夜から当番を定めて交代に町内の夜警に当ることになる。
九月十二日(水)
今日から暴利取締令がいよいよ励行されて、宅の近所で商店や露店の売品の値が高いと言って巡査に殴られたり、蹴られたりしたものがあった。非常のさいには非常の取締の必要もあるものと見える。
博文館の工場に勤めておられたという、鬚を生やした罹災者某君が、夫人とその門前に「社会奉仕スイトン一杯五銭」