轻松读懂日语经典作品
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年7月~1931(昭和6)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,264 字 · 280 页
彼女は、肉体の線があらわに見える様な、絹の春服を身に纒い、顔にも手にも、念入りのお化粧を施していた。
「あたし、おそくなってしまって。お待たせしましたでしょうか」
彼女は薄絹の手袋をぬぎながら、あでやかに笑って見せた。
明智は外套を脱がせてやる為に、うしろに廻らねばならなかった。
「お待ちしていました。兄さん達のお加減は如何ですか」
「エエ、有難う。まだ起きられませんけど、大分いい様ですの。本当に御心配をかけまして」
妙子はソファに腰かけながら、まだ外套を手にして立っている明智を、艶かしく見上げた。読者も知っている通り、彼女は明智を愛していた。彼の方で避ける程、追いすがって来る様に見えるのだ。
明智は妙子のソファと向き合った長椅子に身を沈めた。
妙子はお礼やら、父を失った悲しみやら、えたいの知れぬ犯人の恐れやら、女らしくクドクドと話し続ける。
いつまで待っても、用件が分らぬので、明智はとうとうしびれを切らして、ぶっきら棒に尋ねた。
「で、ご用件は?」
妙子は「マア!」という表情で、やさしく睨んで見せたが、
「外の用件がある筈はございませんわ。父を殺した犯人を探し出して頂き度いのです。