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まじゅつし

魔術師

江戸川 乱歩

「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年7月~1931(昭和6)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,264 字 · 280 页

青空文庫

「犠牲者の番号をつけるのなら、3とあるべきです。それに、この数字はこれまで、いつも犯行の予告に使われて来た。それ以外の用途はなかった。とすると、この4というのが、やっぱり、次の兇行までの日限を示すものではないでしょうか」

一人の刑事が、誰しも念頭に浮べながら、余りの恐ろしさに口にすることを憚かっていた点に触れた。

「最初は十四日の猶予がありました。次は八日、そして今度は四日と縮められたのです。兇行のテンポは次々と早くなって行く、……と考える外はないではありませんか」

彼は冷酷に云い放って一座の人々を眺め廻した。

アア何という兇悪無残、何という人非人、怪物は、今人を殺しながら、その刹那、已に次の兇行を予告しようとしているのか。

果して、この想像は適中した。次の日には配達された手紙類のどれにもこれにも、漏れなく、赤鉛筆で小さく3の字が記入してあったではないか。直ちに郵便局を検べ集配人を訊したが、何の得る所もなかった。その翌日は、外出から帰った長男一郎の折鞄の中から、2と記したカードが現われた。

一郎は家内中での気丈者であった。彼は魔法使を妄想している人々の迷信を笑った。